動詞の make は「作る」という意味が基本ですが、実際の英語ではさらに幅広い意味で使われますし、たくさんの熟語があります。とても大事な動詞なので、それらの意味の広がりに慣れるようにしましょう。
make は後ろに何を作るかを示す目的語を置く第3文型が基本です。My father made a boat for himself. 「お父さんは独力でボートを作りました。」make は「作る」をベースにしながら、発展的な使い方がたくさんあります。make と名詞の慣用的な組み合わせをまず確認しましょう。
make money 「稼ぐ、儲ける」
お金を「作り出す」わけですから、自然ですね。She made money in the stock market. 「彼女は株式市場で儲けました。」
make a mistake 「ミスをする、間違いを犯す」
モノだけでなく事も「作り出す」ことがわかりますね。Anybody can make mistakes. 「誰でも過ちはあります。」
make は「作り出す」から「実行する、達成する」という意味に展開します。
make a speech 「演説をする」
Will you give us a speech on current economic issues next month?「来月、経済問題に関するスピーチを私たちにしていただけませんか?」
make a promise 「約束する」
Tom made a promise that he would never disappoint her. 「トムは二度と彼女を失望させないと約束しました。」
make an effort 「努力する」 make progress 「進歩する」
It is important to make every effort in order to make progress.「進歩するためにはあらゆる努力を惜しまないことが重要です。」
make a decision 「決定する」
It is time for us to make a decision on our new project.「私たちの新しいプロジェクトについてもう判断を下すべき時です。」
さて、make には何かを実行するために、「準備をする、環境を整える」という表現にもよく使われます。
make a bed 「ベッドを整える」
Don’t forget to make a bed before going out. 「外出前に、ベッドを整えるのを忘れないでください。」
この意味では、get と同じように形容詞を後ろに置く自動詞としてSVC形の文を作る時もあります。Birds must make ready for a long, cold winter. 「鳥たちは、長くて寒い冬の準備をしなくてはなりません。」
make は相手や物に対して働きかけ、目標の状態を「作り出す」という意味でもよく使われます。この場合、文型は SVOC の第5文型になります。
The news made many people happy.「そのニュースは多く人々を幸せにしました。」The invention made him more and more famous.「その発明は彼をもっともっと有名にしました。」
このSVOC の第5文型になる、もう一つ大切な make の使い方があります。それは、「~に---させる」という意味になる「使役」と言われる用法です。make him study なら「彼に勉強させる」 make us think well なら「私たちによく考えさせる」といった具合です。
Our teacher made us write a report every week.「私たちの先生は私たちに毎週レポートを書かせました。」
この 動詞+目的語+動詞の形の使役(相手に動作を促す形式)は、ask him to come 「彼に来るように頼む」、force them to appear at the police station 「彼らを警察署に出頭させる」など、後ろの動詞は to をつける「不定詞」になるのが普通ですが、make、have、let の場合、to をつけない「原形不定詞」にする決まりがあり、試験にも良く出題されます。
この(原形)不定詞部分は、とらえ方が難しいのですが、不定詞の名詞用法で、文型の中では目的格補語の役割をすると考えられ、SVOCの第5文型と考えるのが一般的です。
文型と言えば、make は「誰々に何かを作ってあげる」という意味で使う時、第4文型になります。Jane made her daughter a lunch-box today. 「今日ジェーンは娘にお弁当を作ってあげました。」という具合です。
さらに、あまり目にしないかもしれませんが、make には make as 「~の真似をする」、「~のふりをする」make as if という使い方もあります。そういえば化粧は makeup ですよね。
He sometimes makes as a cat and mews.「彼は時々ネコの真似をしてニャオと泣きます。」He made as if he was the captain. 「彼はまるで自分がキャプテンのようなふりをしました。」
これらはSVの第1文型です。ということは、何とmake は1から5の全部の文型を作ることがあるというわけですね。普通は動詞によって文型が決まります。幾つかの文型を作ることもありますが、5つすべての文型を作る動詞は、さすがにまずありませんね。
make はやさしい単語のようですが、奥が深いですね。大切な表現が多いので、親しんでおきましょう。