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現在東京オリンピック2020の各競技が進行しています。ということで、今日は英語の進行形に使われる ing についてのお話です。

 

英語では動詞の尻尾に ing をつけることが多いのですが、これが重要な役割をしています。中学で学ぶ「現在進行形」は比較的理解しやすいですね。My sister is playing the guitar over there. 「お姉さんは向こうでギターを弾いています。」

 

 

でも、ing 形はこの他に、現在分詞、動名詞、分詞構文にも使われ、文法用語が難しいこともあって、しっかり理解されないまま、英語学習の一つの壁になっています。

 

ing の役割をしっかり押さえて、英語学習をより楽しくしましょう。ing の役割は実はシンプルで、視覚的(ビジュアル)なイメージを出すために使われているのです。

 

まず進行形のおさらいから。現在形の文章は、その名前から現在のことを表わしていますが、実際には習慣的な行動、例えば He jogs around the park twice a week. 「彼は週に二度、公園の周りを走ります。」とか、変わらぬ真実を表現するのに使います。The earth is round.「地球は丸い。」

 

 

つまり、今ちょうど起こっていることを表現しているわけでないので、進行形が必要なのです。What are you doing now? I’m writing a report. 「今何をしているの?」「報告書を書いているところです。」ビジュアルな表現ですよね。

 

 

過去や未来でも、進行形は有用です。When I opened the door, several couples were dancing in the hall. 「私がドアを開けた時、何組かのカップルがホールで踊っているところでした。」

 

 

目に浮かぶでしょ? I will be flying over Osaka city around this time tomorrow. 「明日の今頃、大阪市の上空を飛んでいるでしょう。」これも視覚的ですね。

 

 

進行形がつかめたところで、今度は現在分詞にいきましょう。分詞とは「動詞」と、名詞を修飾する役割を果たす「形容詞」の2つの役割を「分け持つ」ことからつけられた名前です。受け身を示す過去分詞と(動詞の活用形の3番目)と、能動(自分が主体)を示す現在分詞(動詞+ing)の2種類があります。

 

代表的な表現は crying baby(泣いている赤ちゃん)です。普通の形容詞のように名詞の前に置いて修飾できますが、真骨頂は名詞の後ろに置くことで、より詳しく名詞を説明できる点です。

 

a baby crying for milk over there 「向こうでミルクが欲しくて泣いている赤ちゃん」という具合です。動詞から生まれた形容詞なので、動詞の性格を生かして、場所や様態を示す副詞を引き連れて使うことができるのです。やはり ing 形なので視覚的な表現ですね。

 

 

英語の学習において、しっかり区別しておきたいのが現在分詞と動名詞です。動名詞も動詞に ing をつけた形ですし、動詞の性格を生かして副詞を引き連れている点も同じ。そして、やはり ing を使っているので、臨場感が表わされます。でも、現在分詞は「形容詞」、動名詞は、動詞を名詞化するもので「名詞」なので、そこをしっかり区別しましょう。

 

つまり現在分詞は名詞を修飾(説明)する役目、動名詞は名詞なので、文の中で主語・目的語・補語になり、前置詞の後ろにつけて使うこともあります。

 

ただし、よく試験に出るのですが、sleeping boy と sleeping bag の違いには注意です。 sleeping boy の sleeping は、上の crying と同じで「眠っている」の現在分詞ですね。 sleeping bag は 名詞+名詞で「寝袋」です。この動名詞は、形容詞のように後ろの名詞を修飾しますが動作でなく目的を示します。

 

 

 

名詞は形容詞が無いような場合、後ろの名詞を説明する場合があります。lunch meeting 、train ticket などと同様ですね。

 

動名詞はまた、同じく動詞から名詞を作る不定詞(to + 動詞)と、特に動詞の目的語になる時、その区別が紛らわしい、と問題になります。

 

ざっと言えば、動名詞はすでに行われていることを示し、不定詞は、これから行うことを示すので、enjoy playing tennis 「テニスをすることを楽しむ」stop crying 「泣きやむ」に対し、want to go camping 「キャンプをしに行きたい」、plan to study abroad 「留学する計画をしている」と、動名詞と不定詞を使い分けします。これもやはり、ing を使っている動名詞が動作の進行感、すなわち臨場感を示すことと矛盾しませんね。

 

現在分詞については、聞く、見るといった知覚動詞の構文にも登場します。この構文は、主語+知覚動詞+目的語(人など)+動作 で「~がXXするのを見る・聞く」という形で、この動作部分は動詞の原形(原形不定詞と言ってto を前につけない不定詞)が来るのが基本です。

 

例えば、I saw Tom cross the street. 「私はトムがその通りを渡るのを見た。」という文章です。この場合、動詞を原形不定詞でなく、現在分詞にする場合もあります。I saw Tom crossing the street. 両者に違いがあるのでしょうか。あります。まさに今日のテーマである ing のビジュアル感です。前者がトムが渡るのを「しっかり見た。確認した」というニュアンスであるのに対し、後者は「ちょうど渡っているところを見た」という感じで、視覚的で瞬間的なとらえ方なのです。

 

 

さて、最後に ing 形を使う分詞構文です。高校で習う英文法の中で、仮定法と並んで、難しいと感じる生徒さんが多い項目です。でも、今までの話で理解しやすいと思います。分詞構文とは、2つの文を接続詞で結ぶべき内容を、主語が共通の場合、1つの文+ingで始まる副詞句で表わす表現法です。

 

例えば、The cat ran away when it saw me. 「そのネコは私を見た時、逃げ去った。」というような文を、Seeing me, the cat ran away. と表現するのです。接続詞は省略されていますから、接続詞は when なのかなあ? because なのかなあ?と相手に考えさせてしまいます。

 

でもこの、意味のぼんやりした点が、臨場感を高めるのです。文章として分詞構文を使う方が生き生きして面白くなりますよ。Waving his hand, Tom came towards us. 「手を振ってトムは私たちの方にやってきた。」

 

 

いかがですか。 ing 形はもうこれで怖くありませんね。この調子で生き生きと、楽しく英語を学んでいきましょう。