脳は慣れる
可塑性と汎化作用
速読の卜レ一ニングでは、普段見ないような速いスピ一ドで流れる文字を「見る」ことを行います。速く読むための擬 似的な環境を与え、本人が持っている能力を最大限発揮させることが目的です。そして定期的にその環境に身を 置くことで、その能力の定着を図ります。速度の定着には、脳の特性である「可塑性」「汎化作用」という特性を活用しています。
可塑性の例
例えば、自動車を運転していて一般から高速の道路へ移ると、速度が40kmから100kmに上がるので、当然 「速い」と感じますが、しばらく100km/時で走った後、高速から一般の道路に戻る頃には、脳が速さに慣れ、以前の40kmが逆に「遅い」と感じるようになります。
そのため、速度計を見ずに感覚だけで速度を戻そうとして、 本人は40kmに落としたつもりが実際には60kmで走っていた、という現象が生じることもあります。
このように、脳が光・音・感触などの外的刺激に順応する特性(「慣れ」)を可塑性といいます。
汎化作用
脳の中には非常に複雑なネットワークが存在しており、様々な能力が互いに連携を取りながら、知覚や判断、行動を行っています。
人間の脳細胞の数(約140億個)は決まっており、脳の活性とは脳細脳内のネットワークを円滑に機能させることを意味します。
脳内のネットワークは繁密かつ複雑に絡み合っていることから、ひとつの能力が活性化するとそれに連なる他の能力も連鎖的に活性化します。この働きを汎化作用と呼びます。