今年のゴールデンウィークはコロナ禍で、レジャー施設が休業するなど、stay-home が求められ、自由に楽しめない状況ですが、本来ゴールデンウィークはレジャー施設 (leisure facilities) にとっては一番の書き入れ時 (busiest season)です。
余談ですが、日本語で繁忙期を「書き入れ時」というのは、お店などで商品が売れると「何がいくら売れた」と帳簿に記入するので、帳簿への「書き入れ」が忙しくなることから生まれた表現です。
私の多彩な職業経験には、遊園地での営業・イベント企画・運営なども含まれています。というわけで、今回は遊園地 (amusement park) のお話。
遊園地の歴史は古く、観覧車、回転木馬、そしてジェットコースターは遊園地の三種の神器とも言え、今でも遊園地の象徴的な遊具です。
ただ、近年はエンターテインメントの世界に、技術やサービス、メディアとの融合などの変化が進み、ディズニーランド、USJなど大型のテーマパーク(英語では theme park [シームパーク]) の集客力が群を抜き、従来型の遊園地は経営が難しくなって、次々と消えてしまっています。
2020年8月に営業を終えた遊園地、東京豊島区の「としまえん」には、特別な歴史を持つ回転木馬「エルドラド」がありました。
この回転木馬エルドラドは、1907年ドイツのライプツィヒで作られ、ヨーロッパ各地を移動遊園地のアトラクションとして巡業していたもので、その後、1911年にニューヨークの遊園地コニーアイランド (Coney Island) に譲渡され、そこではフランクリン・ルーズベルト大統領やマリリンモンローも楽しんだと言います。
1964年にコニ―アイランドでの役目を終え仕舞われていたこの回転木馬ですが、としまえん(当時は豊島園)がこれに目をつけ。1969年に日本へ渡り、修復に2年を要して1971年から豊島園で稼動していました。
日本で現存する最古の遊技機、世界でも最古参の回転木馬で貴重な文化財ともいえるものでした。再度、日本のどこかで活躍してもらいたいものです。
さて、19世紀後半に生まれたと言われる回転木馬は、メリーゴーラウンド merry-go-round (merryは楽しい、go-round は周回の意味)、あるいはカルーセル carousel と呼ばれ(car [台車] の上を動くもの、という意味)、英国では roundabout(round about:ぐるりと回って、という意味)とも言われます。
装飾は様々、照明も美しいものが多く、子供達だけでなく大人達も楽しませる回転木馬は昔から変わらぬ遊園地の象徴ですね。
さて、観覧車は英語でフェリス・ホイール(Ferris wheel) と言います。これは世界で初めてモーター駆動の観覧車をアメリカの技師Ferrisが作ったことに由来します。
現在、世界最大の観覧車は直径170メートル程度に到達していますが、フェリスが1893年に作ったFerris Wheel もすでに直径80メートルもあったというから驚きです。
観覧車は遊園地だけでなく、商業施設などにも設置され、乗って楽しい、見て楽しいランドマーク landmark (目印)になっていますが、最近ではコンピュータ制御の複雑で動きのある照明が観覧車を巨大なスクリーンのとして活かすようになっていますね。
ジェットコースターは和製英語で、英語では roller coaster と言います。roller は「車輪」、coaster は「惰性で進む物」指します。これについては解説することもないでしょう。次々と恐怖感を増すコースターが開発されていますね。
乗り物系の遊技機はライド (ride) と言います。私は遊園地におけるイベントの企画・運営や、新しいテーマパークの企画・開発などと共に、新ライドの導入や運営、改造などにも従事したことがあります。
ところが、私は、実は高いところが苦手で、(高所恐怖症は英語で acrophobia と言います。) 仕事を進めるのに、コースターの試験や、導入のための体験などコースターを避けて通れず、青ざめて仕事にあたることが、多々ありました。大きな直径の観覧車も苦手で、汗をかきながら乗っていました。
大型テーマパークは若者を引き付けるエンターテイメント空間として定着していますが、小さな子供連れの家族にとっては遊園地は大切な場所ではないかと思います。
ビジネスとしては安定して経営を続けるため、様々な工夫や、開発が求められますが、素朴ながら安心してゆったり味わえる遊園地は、これからも身近にあってほしいものですね。